全国には数々の桜の名所があります。お寺も桜がたくさん植えられており、名所となっているところも多いですよね。日本らしい風景を楽しめるとあって、日本人はもとより海外の人にも人気が高まっています。今回は、そうした桜の名所となっているお寺を5つご紹介します。
1. 吉野の桜に勝るとも劣らない「仁和寺」の御室桜
ですが、江戸時代の儒学者、貝原益軒に「洛中洛外にて第一とす、吉野の山桜に対すべし」と称えられているのが「仁和寺の御室桜」です。
京都にある仁和寺は、888年に完成。日本紀略には975年、桜の精霊を鎮め病魔退散を祈る桜会が開かれたという記述があります。仁和寺の桜には仏の力が宿ると考えられていたため、桜の季節になると洛中洛外の人々が無病息災を願いながら集まりました。仁和寺は、1000年以上前から桜の名所として知られていたのです。
現在はソメイヨシノ、シダレザクラなどが植えられており、競って咲く姿は壮観です。中門内の西側にある遅咲きの御室桜越しに見る五重塔は、江戸時代から変わらない景色を楽しめます。
2. 豊臣秀吉も花見をした「醍醐寺」の桜
醍醐寺は874年に建立が始まり、951年に完成。
平安時代は政治の中心となったこともありましたが、鎌倉時代以降は歴史の表舞台になることもなく、応仁の乱に始まる戦乱の世で五重塔以外の建物は焼失。すっかり荒れ果ててしまいます。それを救ったのが、豊臣秀吉でした。
豊臣秀吉が家族、配下の武将やその家族など1,000人以上も客を招いて、醍醐寺で花見を行うことを決定。そのために醍醐寺の整備を命じ、自分も何度も下見に訪れるほどの熱心ぶりでした。
そして、700本もの桜を醍醐寺の山や敷地全体に植え、1598年の春に豪華な花見が開催されたのです。
これをきっかけに醍醐寺は華やかさを取り戻します。三宝院の唐門扉には豊臣家の家紋が刻まれ、4月には「豊太閤花見行列」が開催されます。
3. 樹齢400年のシダレザクラが圧巻!「久遠寺」
法華経で人々を救おうと考えた日蓮は久遠寺を開いたのちはここで生活をしており、その遺骨は今も歴代の住職によって守られています。
久遠寺の境内にある2本のシダレザクラは、樹齢400年を超えるとても大きな木で、日本さくらの名所100選、全国しだれ桜10選にも選ばれています。
垂れ下がる枝いっぱいにピンクの花をつける様子は圧巻の一言です。
4. 江戸時代はお花見禁止!東京屈指の桜の名所「寛永寺」
秀忠、家光の3人は天台宗に帰依していたことから、天台宗の僧・天海は江戸に天台宗の拠点を作りたいと考えており、それが許可されて上野公園の場所にできたのが寛永寺です。
寛永寺の桜は家光が吉野から取り寄せて植えたもの。
完成当初から桜が有名でしたが、将軍家の菩提寺ということで一般市民の立ち入りはできませんでした。これが解禁されたのは、明治に入ってからのことです。
現在は約1,200本の桜が咲き誇り、1日に100万人以上も訪れる都内でも屈指の花見スポットとなっています。
5. 富士山と桜を同時に楽しめる富士五山最大の寺「大石寺」
大石寺は鎌倉時代、日蓮の弟子である日興が開いた日蓮正宗の総本山。
静岡県の駿東地方にある北山本門寺、西山本門寺、下条妙蓮寺、小泉久遠寺と合わせて「富士五山」と呼ばれています。
境内には多くの桜が植えられており、明治の文人大町桂月は「大石寺を見ずして寺を語るなかれ」と大石寺の桜を褒めています。
富士山と桜を間近に楽しめるスポットですが、いわゆる観光地ではなく、修行の場なので立ち入りができない日もありますから、注意しましょう。