先祖の霊が帰ってくるといわれているお盆。そのお盆の最終日「迎え盆」の正しいやり方を改めて確認してみようというのが今回の記事になります。すでに手馴れたものだ、という方でもときには再確認してみるのも良いと思いますよ?
お盆とは
まずはじめに、なぜこれを「お盆」と呼ぶようになっていったのかを見てみましょう。
そもそもお盆とはなんでしょうか?
お盆は、亡くなった先祖の霊が帰ってくる日です。仏教用語の「盂蘭盆(うらぼん)」の省略で「お盆」と呼ばれるようになり、
「盆」はもともと、霊に対する供物を置く容器を意味します。お盆の正確な起源はわかっていませんが、1年に2度、初春と初秋の満月の日に、
先祖の霊が子孫のもとを訪れて交流する行事がありました。それが、初春のものが先祖の霊の年神(としがみ)として、神格を強調されて、
「正月」になったり、
初秋のものが「盂蘭盆」と習合して、仏教の「お盆」の行事になったと言われています。
お盆は古来”祭器”だった
こうして現在の「お盆」のあり方につながるというわけです。
盂蘭盆は、サンスクリット語の「ウランバナ」(ullambana、उल्लम्बन)の音写語で、古くは「烏藍婆拏」(『玄応音義』)、「烏藍婆那」と音写された。「ウランバナ」は「ウド、ランブ」(ud-lamb)の意味があると言われ、これは倒懸(さかさにかかる、逆さ吊り)という意味である。近年、古代イランの言葉(アヴェスター語)で「霊魂」を意味する「ウルヴァン」(urvan)が語源だとする説が出ている。サンスクリットという言語がアヴェスター語と同じく印欧語族のインド・イラン語派に属するという事から考えると、可能性は比較的高い。古代イランでは、祖先のフラワシ(Fravaši、ゾロアスター教における精霊・下級神。この世の森羅万象に宿り、あらゆる自然現象を起こす霊的存在。この「フラワシ」は人間にも宿っており、人間に宿る魂のうち、最も神聖な部分が「フラワシ」なのだと言う。説ではこのフラワシ信仰が祖霊信仰と習合し、「祖霊」を迎え入れて祀る宗教行事となったとする。
迎え盆
多くの地域ではお盆期間は8月13日~8月16日ですので、その初日の8月13日が迎え盆となります。
東京などの「新盆」で執り行う一部地域では7月13日~7月16日がお盆期間となりますから、7月13日が迎え盆となるのです。
精霊棚(盆棚)
それぞれの地域に根付いたやり方というものがありますので一概にこう作るものだとここで述べることができませんが、その中の一例として抜粋記事を下に載せておきます。
盆棚は精霊棚(しょうりょうだな)ともいわれ、ご先祖様の精霊を迎えるために位牌を安置しお供えをする棚です。8月12日の夕刻または13日の朝に作ります。飾り方は地域や家庭の習慣によって異なりますが、一例としてご紹介します。・机などを置いて真菰(まこも)で編んだゴザを敷き、四方に笹竹を立て、縄を張って結界を作ります。
・縄にはほおずきを吊るし、先祖の道を照らす提灯代わりにします。
・位牌を並べ、線香を焚き、ろうそくを灯し、キキョウ、ユリなどの盆花を飾ります。
・水や、季節の野菜、果物、砂糖菓子、そうめんなどを供えます。
・精霊馬(しょうりょううま。きゅうりで作った馬、なすで作った牛)※を供えます。
※ご先祖様はきゅうりの馬に乗り、なすの牛に荷物を載せて、あの世とこの世を行き来するといわれています。また、来るときは馬で早く、帰るときは牛のようにゆっくりとという意味もあります。
精霊馬
キュウリの馬・ナスの牛、こうしてみるとなかなか愛らしいですよね。数日間飾っておくものですから、なるべく新鮮なものを使いましょう。
迎え火
地域によってはお墓参りをしてお出迎えとする場合もあるようです。
仏壇や盆棚・精霊棚、盆提灯などに明かりを灯し、玄関や庭先などで迎え火を焚いて、ご先祖様を迎えます。
この明かりが、ご先祖様の霊が迷わず帰ってこられるように”目印”になるんですね^^
提灯を灯すほかに、麻幹(おがら)を焚くのが一般的です。また、お墓参りをしてお迎えするところもあります。お墓に提灯を持ってお参りに行き、ろうそくに火をつけ、お線香を供えます。
そのろうそくの火を提灯に移して持ち帰り、家の盆棚や精霊棚の明かりを灯したり、迎え火を焚きます。
大切なのはご先祖様を歓迎する気持ち
支度に大忙しで気もそぞろ、では帰ってきたご先祖様もくつろぐどころか気が気ではありません。
ご先祖の皆様は多少粗があるくらいで目くじらを立てるほど狭量ではありませんから、ゆったりと構えて支度するといいでしょう。