京都市東山区にある八坂庚申堂の「くくり猿」をご存知ですか。欲望を一つ我慢すると願い事を叶えてくれるというお猿さんのお守りです。八坂庚申堂の境内には、願い事が書かれた色とりどりのくくり猿がぶら下がっています。
くくり猿とは。
京都でも有名な観光スポットである清水寺や、法観寺の五重の塔、
通称「八坂の塔」からほど近い場所に位置する、小さいけれども人気のパワースポットです。
コンニャク封じの寺として、昔から諸病平癒のご利益があることで知られ、
「庚申さん」と呼ばれて親しまれてきました。
正式名は大黒山延命院金剛寺で、日本初の庚申信仰の霊場とされ、
その歴史は古く960年に建立されました。
現在の本堂は1679年に再建されています。
病魔を退散させる力を持つといわれる青面金剛(しょうめんこんごう)を御本尊としています。
八坂庚申堂の境内には「くくり猿」と呼ばれる、
手足をしっかりとくくられた色とりどりのお猿さんのぬいぐるみがぶら下がっています。
これは、欲望を一つ我慢したら一番叶えてほしい願い事が叶うというお守りです。
背中に願い事を書かれた、本当に数多くのくくり猿がぶら下がった様子は圧巻であり、
しかしどこか心落ち着く光景でもあります。
くくり猿境内にある賓頭盧(びんずる)さんのお堂にはたくさんのくくり猿が下っている。 くくり猿は、お猿さんが手足をくくられて動けない姿をあらわしている。 願い事をかなえるためには欲望を抑えることも必要で、くくり猿は願い事をさまたげようとする欲望をくくりつけ、庚申さんにコントロールしてもらうためのもの。
お猿さんが手足をくくられているのはなぜ?
=くくり猿は“心”をコントロールするアイテム!=くくり猿はまさに、お猿さんが手足をくくられて動けない姿をあらわしています。 お猿さんは人間に近い動物といわれていますが、所詮は動物、欲のままに行動します。 動物園に行けば、お猿さんは欲のまま走り回っていますね。この姿を人間の中にある、欲望に喩えてあり、人間の中にある「欲望」が動かないように、庚申さんによってくくりつけられているのです。
くくり猿に願い事を託して、それを叶える秘訣は、欲を一つ我慢することです。
皆さんが願われたことを叶えようと努力しようとするとき、欲望のこころが動いて、それを妨げようとする、それをくくりつけ、庚申さんにうまくコントロールしてもらうためです。ですから、ご自身の中でお猿さんが走り回るようにこの欲の心が動き出し、悪いことをしたり、努力を怠りそうになったら、庚申さんの怖い顔を思い出して、「罰が当たる」と自身を戒め、くくり猿のように欲望のこころをコントロールしてください。
良い行いをしていれば、くくり猿も庚申のお使いとして、皆さんを助けてくれることでしょう。
くくり猿は、三猿とともに庚申さん(青面金剛)のお使い
八坂庚申の本尊さんについて本尊さんは、末法の乱れた世の人々を救おうとお釈迦様と阿弥陀様とお薬師様が相談され、その結果、青面金剛となって現れた。青面金剛は人を食う夜叉の姿で現れ、悪人を食らい、善人を食わないと言われている。
当山のご本尊である庚申さん(青面金剛)は、病気平癒・あらゆる災難の消滅をはじめとして、学業成就や商売繁盛、また庚申さんのお使いである三猿・くくり猿の霊力により、『 猿結び = 縁むすび 』の御利益はいよいよあらたかに、世の人のあらゆる悩みに霊験をあらわしている。
三猿とは、ご存知「見ざる・聞かざる・言わざる」の姿をした猿の像のことですね。
庚申信仰と三尸(さんし)の思想。
庚申とは干支(えと)即ち、庚(かのえ)申(さる)の日を意味し、この夜に人間の体の
中にいる三尸の虫が、寝ている間に体から脱け出して、天帝にその人間の行った悪行を告
げ口に行く。天帝は寿命を司る神であるから、悪いことをした人に罰として寿命を縮める。
ところが、三尸の虫は、人間が寝ている間にしか体から脱け出ることができないので、
庚申日は、徹夜をする、これを庚申待ちという。三尸とは、上尸・中尸・下尸の三種類のことで、上尸の虫は道士の姿、中尸の虫は獣の
姿、下尸の虫は牛の頭に人の足の姿をしている。大きさはどれも2寸で、人間が生れ落ち
るときから体内にいるとされる。古来、庚申待の行事にさまざまなことを行って徹夜してきたが、青面金剛はこの三尸の虫
を喰ってしまうので、いつの頃からか、庚申待ちには、この青面金剛を本尊として拝むよ
うになった。また、この日、睡眠をささげて、一晩一心に願い続ければ如何なる願いも叶
うとされている。
三尸の虫は、猿とコンニャクが嫌い。
庚申堂掲示板(奈良町の伝説より)「三尸(さんし)の虫」退治 悪病や災難を持ってくるという「三尸の虫」は コンニャクが嫌いだったので人々は 庚申の日にコンニャクを喰べて退治した
「三尸の虫」は、もう一つ猿が大嫌いだった
猿が仲間と毛づくろいをしている姿は まるで「三尸の虫」を取って喰べているような格好に見えたので「三尸の虫」は恐れをなして逃げてしまったと言うそこで人々は いつも家の軒先に猿を吊るして悪病や災難が近寄らないように おまじないをしているのです
手足をくくられてつるす姿が、くくり猿と身代わり猿はとても似ていますね。
ただ、ならまちの身代わり猿が赤一色に白い腹帯なのに対して、
八坂庚申堂のくくり猿は赤、青、黄、紫、さらに1体に2色以上のものなどありとてもカラフルです。
くくり猿は、願いがかなったらどうするの。
願いが叶いましたら、庚申堂へお送りください。撥遣(念を抜く)しお焚きあげいたします。
また、くくり猿は一つ一つ手縫いで作られているお守りです。
めでたく願いが叶ったあかつきには、
庚申堂へ送ると念を抜いてお焚きあげをしてくださるとか。
どこまでも寄り添って下さり安心ですね。
くくり猿と、身代わり猿の共通点は?
有名なところでは、岐阜県飛騨地方のさるぼぼ、奈良市ならまち庚申堂の身代わり猿、
そして京都市八坂庚申堂のくくり猿があります。
姿を比較すると、さるぼぼは手足を広げた姿なのに対して、
くくり猿と身代わり猿は、体を屈曲させて手足をくくられた姿です。
さるぼぼ&身代わり猿&くくり猿奈良と京都は少なくとも、「庚申さん」に関係があります。
さるぼぼが庚申さんと関係あるかどうかは私は知りません。庚申さんは、関西ではよく信仰されている神さんというか仏さんで、そのおつかいが猿です。
「難が去る」ということのほかに、庚申さんは「たれこ封じ」を担当しています。「たれこ」というのは、「垂れ流し」つまり、寝たきりで自分ではトイレに行けず、おむつをしているような状態のことを指し、そうならないようにいつまでも元気で、あるいは寝付くまえにコロっと行きたい、というような願いのことです。
縁日にはおこんにゃくの振る舞いがあるお寺が多いですよ。食べ終わるまで口きいちゃいけないとかいろんなルールあり。
また、庚申堂界隈の民家や商店の軒下でもくくり猿をよくみかけます。