「大阪の夏祭りは愛染さんで始まって住吉さんで終わる」と言われるほど、大阪の人にとっては馴染み深い大阪三大夏祭り。一般的には「愛染祭」「天神祭」「住吉祭」が大阪三大夏祭りと言われていますが、愛染祭は仏教寺院のお祭りなので、愛染祭に代わり生國魂神社の「いくたま夏祭り」を三大夏祭りに数える人もいます。ここでは「愛染祭」「天神祭」「住吉祭」に「いくたま夏祭り」をプラスしてご紹介します。
1. 世界有数の古刹で行われる「愛染祭」
日付は毎年固定で、6月30日~7月2日の3日間です。
愛染堂勝鬘院は593年、聖徳太子が開いた施薬院が始まりと伝えられています。
愛染祭もまた聖徳太子により無病息災を願う祭事として始められ、1400年続いています。
本尊が愛染明王であることにちなみ、夏祭りは「愛染祭」、お寺は「愛染さん」と呼ばれています。
愛に染まると書くことから、恋愛にご利益があるとされ、江戸時代に芸妓さんたちが籠に乗ってこぞって参詣しました。
6月30日には四天王寺の住職たちによって「夏越しの祓え大法要」が多宝塔で行われます。
2. 平安時代に始まる大阪最大の夏祭り「天神祭」
祭りを主催する大阪天満宮の歴史は古く、949年に一夜にして7本の松が生えたという場所に建立されたのが始まりです。
大阪天満宮の夏祭りは951年に大阪天満宮の近くの大川から神鉾を流し、流れ着いた場所にその年の御旅所(神様の休憩所)を作って禊を行うという神事から始まり、現在もこのスタイルを踏襲しています。
京都の祇園祭同様、1か月に及ぶ大きな祭りですが、よく知られているのは7月25日本宮の「陸渡御」「船渡御」です。陸渡御は大阪天満宮から大川の乗船場までの神輿行列。
「船渡御」は神輿が大川に浮かべられた船に乗って行ったり来たりするというもので、天神祭のハイライトとなっています。
3. 勇壮なおねりが有名な「いくたま夏祭り」
ですから、夏祭りではかつて神社があった大阪城へお渡りをします。
夏祭りは平安時代に始まったとされ、昭和初期が祭りの最盛期でしたが、戦争により一時中断。戦後に祭りは復活し、現在は7月11日に宵宮、12日に本宮が行われます。
宵宮、本宮ともに生國魂神社の境内で行われる「おねり」では枕太鼓、獅子舞、金銀神輿などが披露されます。本宮では生國魂神社から大阪城まで神輿が渡御巡幸します。
4. 大阪市内の夏祭りの最後を締める「住吉祭」
住吉神社は、神功皇后が神託を受けた場所に住吉三神を祭ると無事に航海できたということから、住吉大社は海上安全の神様としてあがめられるようになったのです。
住吉大社の夏祭りは、市内の夏祭りの中でも最も遅く行われるため、大阪中を清める祭りでもあります。
● 7月海の日・・「神輿洗神事」
● 7月30日・・「宵宮祭」
● 7月31日・・「夏越祓神事・例大祭」
● 8月1日・・住吉大神の御神霊を乗せた神輿が堺の宿院頓宮まで渡る「神輿渡御」
夏越祓神事で行われる茅の輪くぐりは半年分の穢れを祓い、残り半年の無病息災を願う神事で、一般の人も参加可能です。
5. 夏祭りの意味とは?
神道では、生活するうちに溜まってしまう罪や穢れを半年おきにきれいにする儀式として「大祓」というものを行います。
6月と12月に行うのが一般的ですが、昔は疫病や災害などが発生した時に臨時に行ったこともあります。真夏を無事に乗り切れるよう、古代の人々は梅雨の終わりごろに無病息災を願ったのが夏祭りの始まりです。
そして大阪三大夏祭りにも登場する、お神輿。
神様が宿った神体や依り代を神輿に移して旅所や元宮を訪れるのは、神様の力を地域にもたらし、安寧を祈願するためです。
夏祭りは半年分の穢れをリセットし、元気に残り半年を過ごせるよう祈願する、大切な儀式なのです。