「花祭り」と言われると何が思い浮かぶでしょうか。どこかのイベント会場や野外会場にて、沢山におい花々が…ではありません。実は仏教において大事な行事である「灌仏会」の別名を「花祭り」と言います。今日はそれについてご紹介していきます。
●「花祭り」とは。
仏教行事のひとつに「灌仏会」というものがあります。ちょうど桜が咲く4月に行われます。「灌仏会」という言葉は聞き慣れないと思われますが、「花まつり」というとよく見聞きされる方が多いのではないでしょうか。
というのは、まず知っていただきたいこと。
では「灌仏会」とは何でしょうか。
そもそも「灌」と言う字は
「・水をそそぐ、流し込む」という意味があります。
ですので、ブッタ(仏)に対して水をそそぎ込む儀式だと分かります。
では、そこを詳しく紹介していきます。
・なぜブッタ(仏)が関係するのか。
・4月8日は釈迦の誕生日
4月8日には、日本各地の寺で お釈迦さまの生誕を祝う法要が行われる。“花まつり” や “灌仏会”(かんぶつえ) など呼び方は様ざまだ。
その日はブッタ(お釈迦さま)の誕生日と決められています。
ですので、イエス・キリストが生まれた誕生日をクリスマスとして祝うように
ブッタが生まれた誕生日を花祭りとしてお祝いしているのです。
・どんなお祭りなのか。
写真のように花で飾った花御堂はなみどうを用意し、中心にお釈迦様の像が置かれています。
花祭りでは、このお堂の中に甘茶を入れたお盆を入れ、それをひしゃくですくってお釈迦様の頭にかけて祝うんです。
そこで甘茶を像にかけてあげるという内容が
「花祭り」の祝い方です。
では、何故このような形をとっているのでしょうか。
・「花祭り」の由来。
境内に花で飾ったお堂「花御堂」が設けられ、甘茶を入れた水盤の上に「誕生仏」といわれる釈迦の像が置かれます。
「花御堂」は釈迦誕生の地であるインドのルンビニーの花園になぞらえたもの。
「誕生仏」は、釈迦が生まれてすぐ東西南北の四方にそれぞれ7歩歩み、右手で天を左手で地を指して、「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげゆいがどくそん/人間ひとりひとりが一つしかない命をいただいている尊い存在である)と唱えたという姿を表したものです。
釈迦の誕生時に九頭の龍が天から清浄の水を注いで産湯を使わせたという故事や、同様に甘露の雨を降り注いだという故事から、柄杓で甘茶をすくい、誕生仏の頭上から注いでお参りします。
生まれたシーンを再現しているのですね。
ですので、花で囲まれていたり
盆の中に像がたっていたり、その像の指の形だったりなどは
全て誕生のシーンの再現と言えます。
…凄く俗な言い方をすれば、古くからあるフィギュアのジオラマですね。
●「花祭り」の食事。
日本では奈良時代から灌仏会は行われていましたが、
当時は香水(こうずい)と呼ばれる水をかけていました。
現在のように甘茶をかけるようになったのは江戸時代になってから。甘茶はユキノシタ科に属するガクアジサイの仲間であるアマチャの葉を乾燥・発酵させたもので
これを煎じたお茶です。
灌仏会にもらった甘茶を飲むと病気をしない
目につけると目が良くなるといわれ、甘茶で墨をすると習字が上達するといった願掛けや
害虫よけのおまじないにその墨を使うといった風習もあります。
甘茶は、龍が注いだ甘露の代わりということです。
平安時代は五種類の香料から作られた五色水(ごしきすい)を注いだといいます。
五色水が甘茶に代わったのは江戸時代のことといわれます。このように、甘露に見立てた甘茶や五色水を誕生仏に注ぐことから
「灌仏会」と呼ばれます(「灌」は、注ぐの意味)。参拝者は帰りにこの甘茶を水筒(昔は竹筒の水筒)に詰めて帰ります。
この甘茶を飲むと厄除けの効果があるとか。
甘茶は漢方薬である甘草(かんぞう)で作るそうなので、体にもよさそうです。
それを飲むことによって無病息災を祈願したり
そこに付随して、さまざまな祈りをささげることが
「花祭り」の楽しみと言えます。
ただし、上記のように甘茶をその場で飲ませて頂ける場合や、
水筒での持ち帰りなど、それぞれのルールがあるようなので
もしご興味があり、近くのお寺にて開催されているので参加を!と
思われた場合は、事前にそのお寺でのルールを調べておくことをオススメします。