日本人は「初もの」が大好きです。「初」という名前がつくと高くても買ってしまうという人も多いとおもいます。でも、なぜ初ものを食べるのか、「初もの」とはそもそも何を指すのかをご存じでない方も多いのではないでしょうか。「初もの」の意味を知っておいしくいただくことで、福を呼び込み元気で長生きしましょう。
そもそも「初もの」とはなんでしょう?
その季節に初めて収穫した野菜・果実・穀物など。魚介などにもいう。はしり。
生産者は初穂(はつほ)として神仏に供えます。
「初もの」をたべると長生きする?
その年初めて収穫された初物には、他の食べ物にはない生気がみなぎっているはずで、
それを食べれば、新たな生命力を得ることができると考えられていたためです。江戸時代、流通市場が整うと、人々、とくに江戸っ子たちは競って初物を求めるようになりました。
一時は幕府が、魚・貝類・鳥・野菜や果実などの売り出し日を決定し、初物を求める風潮を
制限したほどだそうです。この「七十五日」という数字の根拠は「人の噂も七十五日」でも使われているように、区切りが良く語呂もよい数字だということでそうなったようです。
初もの四天王
「初鰹」「初鮭」「初なす」「初きのこ」は『初物四天王』といわれました。
初鰹
春、黒潮にのって太平洋岸を北上する時期に漁獲されたものを 「初鰹」
初鮭
はじめて川をさかのぼるサケ
初なす
初きのこ
そのほかにもいろいろある「初もの」
新茶
「新茶」とは、その年の最初に生育した新芽を摘み採ってつくったお茶のこと。
鹿児島などの温暖な地域から摘み採りが始まり、桜前線と同様に徐々に北上していきます。
新米
特に日本人の主食であるお米はこの時期、格別おいしく感じられます。口に含みいつもよりゆっくり噛んで味わう新米は、ひと味もふた味も違うおいしさ。食が進まない暑い夏が過ぎ、からだがこのおいしさを求めているのかもしれません。
「収穫された年の12月31日までに精米されて袋詰めなどがされ、販売できる状態になっているお米のこと」となっています。なので、新米として販売できるのは、年内もしくは、年明けのしばらくの間ということになりますね
初じゃがいも(新じゃが)
その収穫時期の初期に出る新物が「新じゃがいも」
初たまねぎ(新たまねぎ)
たまねぎは、春まき又は秋まきで栽培される「黄たまねぎ」の品種群があり、貯蔵しやすい性質から、店頭には1年を通じて出回っています。一般的に「たまねぎ」といえば、この黄たまねぎがイメージされます。
一方で、春に旬を迎える「白たまねぎ」の品種群を中心とする「新たまねぎ」は、生で食べるとみずみずしく、独特の甘みがあるので、春の訪れを感じさせる野菜の代表格となっています。
「初もの」をたべるとき笑う?
私は今回初めて聞いたのですが、地方によって笑うときの方角が違うようです。
【初物を食べた時は東を向いて笑う】
その年はじめて食べる物は、東を向いて笑って食べると一年良い年であると聞いたことがあります。
関東では西、関西では東だそうです。やったー。
ちなみに、西の方角には阿弥陀如来がいらっしゃるとか。
最後に…
その理由の一つに「江戸庶民の食べる事への情熱とこだわり」があったようです。
また、初ものは時の将軍にも献上されていたので、将軍様と同じものが食べたい!という気持ちもあったかも知れません。
また、現代とは違いその時その時に食べておかないと次の旬が来るまで食べる事ができない、ということも関係しているのかもしれません。
その歴史があるためか日本人のほとんどの人は「初もの」とつくとついつい手に取ってしまう人が多いと思います。
では、その「初もの」の栄養価はどうなのかというと、昔から言われている「初物を食べると長生きする」と一概に言い切れるほどのものではないようです。
ですが栄養価よりも「はじめてとれたものを食する」という事に重点を置いたものが「初もの」であろうと思います。
また、初ものを食べるときに東、あるいは、西を向いて笑うというのも、いただく初ものをより縁起の良いものとしたいという昔の人の「知恵」だったのかもしれません。