「僥倖(ぎょうこう)」という縁起が良い言葉をご存知ですか?日常の中で頻繁に見聞きする機会がある言葉ではないので、いまいちよく知らない方も多いのではないでしょうか。どんな意味を持っている言葉なのか、どう使えばいいのかをお伝えしますので、これからぜひ積極的に使ってみてください♪
僥倖ってどんな意味?
1つは、予想していなかった幸せという意味です。
具体的に「こんな幸せが到来して欲しい」と願っていたり、
良いことがありそうだと予感していたりしたところに到来した幸せではなく、
不意打ちのように到来した幸せのことを指します。
もう1つは、予想外の幸せの訪れを願ったり求めたりするという意味です。
僥倖の「僥」という字は、願うとか求めるといった意味を持っており、
「倖」という字は、偶然の幸せという意味を持っているのです。
例えば、縁起物を購入して、何か良いことが起こるようにと願うことも、
こちらの意味での僥倖だと言えるでしょう。
「思いがけない幸運、またはそれを願うさま」という意味になります。
全く予想もしなかった幸運や、偶然の幸運という意味で使います。
僥という漢字は、訓読みで「もとめる」「ねがう」と読み、運、願望といった意味を持ちます。
倖という漢字は、訓読みでは「さいわい」と読み。
思いもよらない幸い、こぼれた幸いといった意味を持ちます。
類語で意味をより深く理解!
僥倖の類語としては、例えば、「棚からぼたもち」ということわざが挙げられます。
棚から美味しいぼたもちが降ってきて、自分の口の中に転がり込んでくるなどということは、
事前には予想もつかないことですよね。
そのように思わぬ幸運に恵まれること、また、そのような思わぬ幸運に恵まれたいと願うことを僥倖という言葉で表すのです。
類語:棚牡丹(たなぼた)、紛れ(まぐれ)、儲け物(もうけもの)、紛れ幸い(まぐれざいわい)、零れ幸い(こぼれざいわい)、勿怪の幸い(もっけのさいわい)
どんな使い方をすればいいの?
「予想していなかった幸せ」という意味で使いたい場合
好きな人と偶然に街中で会うことができたとき、思いがけず良い買い物ができたときなど、
何か良いことがあったタイミングで、僥倖という言葉を積極的に使ってみてはいかがでしょうか。
また「僥倖を期待する」とか「僥倖を待つ」とかいうように、
これから何か幸せな出来事が起こってほしいと考えているときにも使うことができます。
・僥倖を期待していたが、何も起こらなかった。・今日は僥倖ばかりだ。ついている。
・この計画は僥倖待ちじゃないかと思う。
「予想外の幸せの訪れを願い求める」という意味で使いたい場合
何か達成したいことや叶えたいことがあるけれど、そのために自分ができることが無かったり、既にやり尽くしたりしたタイミングで使われることが多いです。
具体的には、「僥倖するしかない」とか「僥倖しなければならない」とかいった使い方をします。
今は僥倖するしか他には手段が無い。
「生死の境の中に生きることを―しなければならない運命」〈有島・生れ出づる悩み〉
万一を-するの外為す可きもの無し/佳人之奇遇 散士
僥倖という言葉を使うメリット
ただ、先に挙げた「棚からぼたもち」のように、僥倖の類語は軽い印象の言葉が多いため、
目上の方に向かって使ったり、畏まった文章に使ったりするのは躊躇われるものです。
その点、僥倖であれば、フォーマルなシーンでも場の雰囲気を壊さずに使うことができます。
また、日常的なシーンで使う場合でも、棚からぼたもちと言うよりも僥倖と言ったほうが、
知的かつ上品で趣のある印象になるので、便利でしょう。
思いがけなくやってきた幸せや幸運は、どうしてもコミカルに表現しがちです。最も頻繁に使われている表現は、棚牡丹、ではないでしょうか。これでは、冗談を含められない文章や、逆効果を狙って重々しい表現を使いたいときに不向きです。そういった局面では、この僥倖が便利になります。